How to Sail

Lesson25

スタート

スタートと一口にいってもなかなか奥が深くてスタートを極めるのはとても難しいと思います。なにせスタートの時はたくさんの船が一緒にスタートしてみんなが良い位置を狙ってくるのでとても邪魔。かといって強引に突っ込んで船をぶつけたり、集団の中に入ってしまってどうにもならなくなったりといろいろとスキッパーが悩むところです。レースの8割はスタートで決まるという人もいる位だし、たしかに同じデザインの船だと先にでる事はとても重要だと思うし、集団から飛びぬけていくチャンスでもあるのは事実です。個人的にはスタートは重要とはいえ、無理に一番良いところからでなくてもスピードをつけて良い風を受けながらスタートする方が安全だし、大失敗する可能性も低いし、後から挽回するチャンスもあるのだから、多少安全指向にすべきでは・・・と思います。ただし、マニューバリングに絶対の自信があったり、大博打にでなくてはならない状況だったら、混戦の中にあえて突っ込まなくてはならないこともあるでしょう。(勝ったら賞品がすごくいいとか!)詳しくはTacticsのところで。まずスタート時の役割など基本的な事について。

スタート時のポジション
status
foredeck pit man trimmer main sail trimmer helms man note
どこにでも向いて走ります。バウに立ってスタートライン・他の艇を見て後ろに伝える。艇速、方向などをヘルムスマンにアドバイススタートの時間をカウントダウンする。(例、5〜3分までは30秒毎、3〜1分前までは10秒毎、1〜スタートは1秒毎)フォアデッキにも聞こえる様にカウントダウン。ジブトリムメインシートトリム。舵と様々な指示。どの様にスタートするつもりか事前にクルー全員に言っておく。信号などはちゃんと見て、時間をちゃんと取ること。

スタートの流れは、大抵

スタート5分前にクラス旗が上がる。(ホーンも鳴る)
↓↓
4分前にP旗があがる。(ホーンも鳴る)
↓↓
スタートの時はクラス旗とP旗をホーンとともに降ろす。

と言うのが基本になります。ここで関連する旗について。

クラス旗:スタート十分前に上げる。レースによっていろいろな色の旗になる。葉山マリーナはHMYCの旗。帆走指示書に書いてあるのでよく確認すること。

P旗:国際信号旗のP。何故Pなのかよく知りません。4分前に上がります。

回答旗:何らかの事情でスタートが延期される時に上げられる。スタート6分前に降ろされる。

X旗:リコール艇(フライング)があった時に上げられる。リコールした船はリコールを解消するために、一度スタートラインより風下側に行ってから再スタートしなくてはならない。

第一代表旗:ゼネラルリコール(ゼネリコ)といってリコール艇が一杯いて本部船からどの船がリコールしたのか分からない時に上げられる。これが上がったら、もう一回スタートやり直し。次のスタートの6分前に降ろされる事が多い。

I旗:大抵ゼネリコをした後の再スタートの時等に上げられる。この旗が上がっているときは“I旗ルール”適用される。I旗ルールとは、リコールした場合、それを解消するためには、リミットマークもしくは本部船のどちらかから回り込んで再びスタートしなくてはならない。ラウンドジエンドルールともいいます。下の図参照

Z旗:一分間ルールが適用されるスタートの時にあげられる。一分間ルールとは、スタート一分前からスタートまでの間にリコールのポジションにいるふねは失格とするもの。ゼネリコがつづいて運営側がむかついた時などに適用される。

L旗:スタートとは直接関係ないのですが、「声の届くところに来い」と言う意味なので本部船の近くに行く。レースの参加の確認(チェックイン)の時とか、何か指示があるとき、スタート海面を移動する時などに上げられる。

と、これらのことを知っているのは当然ですが、スタート前にクルーワークの確認や、風や潮などの情報をできるだけ得ておくとスタートだけではなく、その後の展開が有利になります。スタート前にやっておくべきことは
1.レースの申し込みはしたか?
2.帆走指示書は全員が理解してるか?
3.海上でのエントリーは必要か?
4.ポジションはきまってるか?
これらは、レース参加の際に当たり前に決まっていなくてはならないことで、実際にレース海面についたら、
1.風の状況
2.潮の状況
3.波の状況
4.他艇の状況
5.クルーワークの確認
6.スタートプランの立案
7.レースプランの立案
を確認する必要があります。
これらをするには、結構時間が必要ですし、時間があればあるだけ、余裕をもって、より多くの情報が得られるので、スタートぎりぎりにレース海面にいくというのはもってのほか
スタート海面には早く行く!
というのが鉄則です。下にスタート前のsequenceの一例を載せておきます。

@上りのクルーワークの確認(タック等)&上り角度、風向風速の確認。各タック毎のheadingを残しておくべし。
A上マーク回航のクルーワーク確認
B下りのクルーワークの確認(ジャイブ等)&下りの角度
C下マーク回航のクルーワーク確認
Dラインの見通し、角度確認(本部艇側からできなかったら、アウターから確認する)
E本部艇〜ラインの間の時間を測る
Fアウター付近で真上に向けて風向を測る。マークを基準に潮流を見る。
Gライン中央付近で風向を測る。
H本部船付近で風向を測る。バックしながら藻をとる。

それでそのままスタートへ。ここで得られた情報は、ストラテジーを考えるのに役にたちます。

Lesson26

How to sail Home